商品内容や特徴を分かりやすく伝えることができる広告漫画ですが、どのような漫画が「良い広告漫画」 とされるのでしょうか?
商品と絵柄の親和性、シナリオの内容など広告漫画を構成する要素はいくつかありますが、ここでは好まれる広告漫画の描き方についてご紹介します。
1.セリフを多くしない
商品のPRポイントをすべてセリフで伝えようとするあまり、ページ数が限られているにもかかわらず、コマの大半がセリフになってしまう広告漫画が多く見られます。
↓は同じ意味のコマですが、見比べると短文のほうが伝えたい内容がすぐわかりますよね。
広告漫画では、広告主が伝えたい内容と漫画の読みやすさとのちょうどいい塩梅を見極めなければなりません。
2.セリフの行間を120パーセントに設定する
行間が狭いと、セリフに圧迫感が出て読みづらい印象を与えます。
行間の設定はクリップスタジオの場合、ツールプロパティから変更できるので、120%程度に設定します。
たった20%の違いですが、120%のほうが読みやすく感じるのではないでしょうか。
3.吹き出しの余白を確保する
吹き出しの余白の有無でも読みやすさが変わります。 セリフが多くなってしまうと、吹き出しのスペースが足りず狭くしがちですが、ネームの段階から読みやすいサイズを確保できるコマ割りを心がけましょう。
←余白なし 余白あり→
4.読みやすいフォントサイズとは
元漫画編集者で漫画家のサノマリナ先生がツイートでフォントサイズや行間など、文字入れについてわかりやすくまとめています。
漫画の文字入れ(写植)のコツについての漫画を描きました🤟 pic.twitter.com/t7D5Ov8bBV
— サノマリナ|恋かし1巻発売中🍰 (@Marina_fumetti) September 26, 2019
上記で紹介しているQ数(=級数/フォントサイズ)は、環境設定で「Q」や「pt」に変更できます。10Q(級)が約7ptなので、広告漫画では12~14ptが最適なフォントサイズと言えます。
広告漫画では、緩急をつけたいセリフを除きフォントサイズは一定になるよう調整しましょう。特殊なコマ割りをあまり使わない広告漫画では、フォントサイズを一定にすることで視認性が上がります。
5.構図を工夫して視線誘導も意識する
商業漫画でも広告漫画でも構図の良し悪しで作品の評価は大きく変わります。
↓は一般的な構図と工夫した構図の漫画を比較したものです。
←一般的な構図 凝った構図→
一般的な構図でも内容は理解できますが、右の漫画は1コマごとにカメラワークが異なり、場所やキャラの立ち位置もわかりやすく、世界観が伝わってきます。
メインキャラだけでなく背景やモブの書き込みまであると奥行きが出てきますが、作画に時間がかかるため、3D素材などの時短テクニックを駆使して仕上げましょう。
6.顔漫画にならない構図
広告漫画はセリフ量が多いため、凝ったコマ割りや構図が難しく、いわゆる「顔漫画」になってしまうことがあります。
顔漫画は作画が楽ですが、動きがなく単調に見えてしまうので、少ないスペースでも動きが出るような構図で仕上げてみましょう。
7.発色の良い色とは
作品全体が明るく見える作品と、暗い印象を持つ作品があります。演出でなければ発色が鮮やかな作品が好まれますが、配色は広告漫画家の作家性やセンスによって変わってきます。また、CMYKやRGBの発色方式の知識があるかどうかでも完成品の仕上がりは違ってきます。
正解の色があるわけではないのですが、好ましい色合いをご紹介します。
←発色が悪い漫画 発色が良い漫画→
発色悪い肌色(左):C:2 M:7 Y:23 K:0
発色悪い肌影色(左):C:4 M:19 Y:40 K:0
発色良い肌色(右):C:1 M:13 Y:11 K:0
発色悪い肌影色(右):C:0 M:31 Y:28 K:0
←発色の悪い肌色・影 発色の良い肌色・影→
発色良い肌色はM版とY版の数字が低く近いことがわかります。もちろん、性別や年齢などによって適切な色合いは異なりますので、どういった色合いがそのキャラを引き立てられるのかという観点を持って着彩してみましょう。
お絵かき講座パルミーさんのツイートで影色の考え方がツイートされています。
肌色と影色の配色だけでも全体の雰囲気は大きく変わりますので、見栄えがよく自分の絵柄に似合う配色を見つけてみてください。
8.良い広告漫画の描き方まとめ
文字の入れ方や、色合いに至るまで、良い広告漫画のノウハウをまとめました。
広告漫画に限らず使えるスキルですので、漫画を描いている方も是非参考にしてくださいね。
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